公式というのは正しく証明して使うものである
このことは数学を扱う人の中では重要視されている共通認識ですよね。
例えば、大学入試問題において東京大学や埼玉大学などで加法定理の証明がでたり、順天堂大学などで正弦定理の証明が出たり数え上げたらキリがないほど定理の証明問題はよく目にする頻出事項です。
そこでは当然厳密性が問われ、不十分なものは減点対象となりますので証明問題を正しく解くというのは大変難しいものです。
実は昨日、公立中学校の定期テストで解の公式の証明問題が出題され固まってしまいました。
こちらは難関中学校の定期テストでもかなりの頻度で出題される問題なのですが、厳密さが足りず減点されるいわく付きの問題でもあるのです。
という事で正しい証明をしていきます。
問題 2次方程式、\(ax^2+bx+c=0\)の解は $$x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$であることを証明せよ。
2次方程式なので\(a\neq0\)である。(また\(b^2-4ac\ge0\)をみたすものとする。)
よって$$ax^2+bx+c=0$$の両辺を\(a\)で割って
$$x^2+\frac{b}{a}x+\frac{c}{a}=0$$
$$(x-\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2}{4a^2}+\frac{c}{a}=0$$
$$(x-\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2-4ac}{4a^2}=0$$
$$(x-\frac{b}{2a})^2=\frac{b^2-4ac}{4a^2}$$
平方根をとると
$$x-\frac{b}{2a}=\frac{\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2|a|}$$
(ⅰ) \(a>0\)のとき
$$x-\frac{b}{2a}=\frac{\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$
$$∴ x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$
(ⅱ) \( a<0\)のとき
$$x-\frac{b}{2a}=\frac{\pm\sqrt{b^2-4ac}}{-2a}$$
$$∴ x=\frac{-b\mp \sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$
↑この場合分け部分については \(a>0、a<0\) 何れの場合についてもその平方根は$$\frac{\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$と表せると簡便に書くのも可。
したがって何れの場合でも2次方程式の解の公式は
$$ x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$で表すことができる。 ■